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 講師:野尻英一  
 日時:2023年12月24日(日)13時〜
 会場:京都 KIKA Gallery ← 終了しました

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概要

 ジジェクは日本のサブカルチャーに出会うことはあるのでしょうか。
 現代思想の世界的なトップランナーであるジジェクは、ラカン、ヘーゲルを駆使して現代民主主義の行方を論じ、ハリウッド映画の欲望を論じます。ここにはイーグルトン、ジェイムソンと継承された、制作者と消費者の欲望の転移関係から作品を論じる現代批評理論の後継者としてのジジェクを見て取ることができます。しかし日本においてもまた世界においても、論じられることが多くなってきた漫画やアニメなどのサブカルチャーと、ジジェクは、いまだ出会うことはないようです。
 でも、もし、両者が出会ったら?! という仮定のもとに、ジジェクの理論をわかりやすく解説するのが、今回の講義です。
 先日米国の大学で『進撃の巨人』や『魔法少女まどか☆マギカ』など日本のサブカルチャーをフレドリック・ジェイムソンの理論を使って論じる講義を行いました。そうした成果も紹介しながら、お話します。
 テキストとしては、ジジェクの入門書として最適な『斜めから見る』を用いることにしましょう。第1章「現実から<現実界>へ」と、第7章「イデオロギー的サントーム」の内容に触れる予定です。
 文学が好きな人は、パトリシア・ハイスミスの「黒い家」という短編(『黒い天使の目の前で』扶桑社ミステリー所収)をあわせて読むと、二倍講義を楽しむことができるかも!?

講師プロフィール

野尻英一(のじり・えいいち) 
一九七〇年生。 大阪大学人間科学研究科・准教授 。早稲田大学第一文学部卒、同大学院社会科学研究科博士後期課程修了(学術博士)。専門はドイツ観念論。日本ヘーゲル学会研究奨励賞、社会理論学会研究奨励賞受賞。著作に『意識と生命―ヘーゲル『精神現象学』における有機体と「地」のエレメントをめぐる考察』社会評論社(二〇一〇年)、共編著に『哲学の戦場』行人社(二〇一八年)、翻訳にポストン『時間・労働・支配』、ジェイムソン『21世紀に資本論をいかに読むか』、バトラー『欲望の主体』など。現在は哲学、社会理論、精神分析、表象文化論を駆使した研究を行なっている。2023年より科研費「スラヴォイ・ジジェク思想基盤の解明―ヘーゲル、ラカン解釈を中心に」によるジジェク研究チームを率いる。9月にはウィスコンシン大学マディソン校で講演 “Japanese Popular Culture and Contradictions of Late Capitalism” を行った。